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元景服装(大連)有限公司

   

3月1日 お話を伺った方 董事長 胡 幼青さん
・元景服装(大連)有限公司について
 会社設立2000年11月1日 従業員人数約700人 生産製品は日本企業向け輸出
 年生産額500,000,000円 年生産量300,000着

 元景服装でもやはり、若い人たちが多く働いていることが目に付いた。その多くは山東省や河南省からの出稼ぎ従業員で340人近くがこの二つの省の出身と言うことだ。現地採用の従業員は少なく、その理由はやはり内陸部と違って発達した地域を知ってしまっている人達はもっと楽でいい仕事を求め、また大連付近の農村部も豊かになってなって来ており人員募集が難しいということだ。
従業員には寮と食事が準備されており、月の給料は普通の従業員は800元。従業員幹部クラスになると1000元もらえる。歩合制度については班単位でのインセンティブを採用している。月の目標を達成した班には報奨金を出し、質が悪いものが出来上がってしまった場合はその班全体に罰金が科せられる。このような班単位での歩合制度を採用する理由は班全体でひとつの目標に進むことによって集団性が生まれ、それが品質の向上につながっていくからで、もし個人単位での歩合制を採用してしまうと、スピードが重要視されてしまい品質の低下につながってしまうからである。また給料は安くもなく、高くもなく、市場価格で設定しているという。中国人はスキルアップにより職場を変えたり、技術や能力によって他の企業から引き抜かれてしまったりしまうことについて尋ねたところ、ここでは転職を希望する従業員は少ないということだ。その理由として大きな力を発揮しているのは、会社との信頼関係だと胡さんは話してくれた。
従業員との信頼関係を築くために必要なことの1つめは企業の安定性である。給料や保証の面での安定した供給が必要となってくる。2つめは企業の将来性である。自分がこの会社で働き続けたとき、将来どのようなポストまであがっていけるのかなどのチャンスの広がりを明確にできているかどうかが大切になる。3つめは企業での学習機会の設置である。元景服装では年に20〜30人程度の従業員を日本の縫製工場などに3年ほど留学させている。そこでコンピューターやCADについて学ぶことにより、自分のスキルを上げ、仕事の幅を広げていくことができる。このように給与面以外にも力を入れることにより、人材の流出を防ぎ、みんなが働きやすい職場環境作りを進めている。
工場は金州区友誼街に建てられていた。なぜ税率の安い輸出加工区や経済開発区に工場を建てずに税率の高い金州区に建てたのかをうかがった所、「輸出加工区や経済開発区に工場を建てると税制の面では10%や15%で、金州区の22%と比べ有利に設定されているが、工場や寮の家賃や土地代、人件費、従業員の生活費の面などを含めて考えると金州区でのコストのほうが低くなるから」だという。そのほかの理由には、街に近いことで従業員が仕事に集中できないような環境を作らないようにしているということだ。
工場を見学していく中で驚いたことは、ここの材料管理ではトヨタと同じJust In Timeを採用されていたことだ。この方法を採用することで製品ラインの流れをスムーズにし、在庫を減らしているということだ。確かに大連は外資系企業がとても多く進出しているが、このような工場でJust In Timeが採用されているとは思わなかった。またもうひとつ驚かされた点は、工場管理のPCソフトウェアを独自開発していることだ。ソフト開発というものは多くの費用と時間と手間がかかり、大企業ほどにならないと行わないものだと思っていたが、それが従業員700名程度の工場で開発されていた。
この工場で生産されている7割は進料加工で3割が来料加工ということだ。私は来料加工の方が得られる利益は低くなってしまうが、材料を購入しないためリスクも少なく、関税や増値税の負担もなく有利だと思っていた。しかし工場側としては進料加工のほうが有利だということだった。進料加工は17%の増値税が掛けられるが、その後、14%(1996年以降は9%?)の増値税環付があり、実質は3%の税負担となっている。この部分だけを比較すると来料加工が有利に見えるが、進料加工では原材料を中国で仕入れる分製品に加工賃プラス利益を含めて輸出することができるので、加工賃だけしかもらえない来料加工よりも、リスクは高くなってしまうが進料加工の方が多くの利益を上げられるということだった。
中国のWTO加盟について伺ったところ、元景服装は100%日本向けということで生産量はあまり変わっていないということだった。日本には中国からの輸入品制限は無く、毎月安定した量を輸出できるという。しかし、ヨーロッパやアメリカ向け製品を製造している企業には悪影響が出ているという。WTO加盟によってヨーロッパやアメリカの中国製品輸入制限が無くなり、大量生産を行ったがそれにより、貿易摩擦が拡大してしまい中国政府が自主的に輸出制限を各企業に課している。その結果、大量生産を行っていた企業は輸出制限を越える膨大な量の製品をすでに製造してしまっており、逆に倉庫コストが多くかかってしまっているという。GATT時代から加盟を希望し、長い時間を掛けてやっとWTOに加盟できた中国だったが、その生産力の高さと低コストの面から諸外国に大きな影響を与えてしまい、そのことが中国政府自ら企業に輸出制限を設けられ、結果として縫製業界全体の発展にマイナス影響になっているとは思いもよらなかった。

工場見学を行うことによって、実際に話を伺うことで参考書を読むだけでは分からなく、現場ではどのようなことが行われているのかを知ることが出来た。特に自由貿易を象徴とするWTO加盟によって私は多くの企業に利益があると考えていたが、逆に不利益に働いてしまうというお話を伺えただけでも大きな収穫だったと思った


元景服装の検査場、倉庫

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